上級国民への道blog

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身分制度はまだ生きている

身分制を色濃く残す日本社会

「近代社会」では、身分や性別・出自など生まれ持った属性でなく、個人の能力に基づいた労働の成果で収入が決まることになっている。

 

ところが、日本においては、この近代社会の原理原則に反する事例がしばしば見られます。特に役所や大企業など既得権益をもつ大きな組織ではっきりと観察することができる。

要するに、日本では身分制が生きているということです。

 

但し、江戸時代以前とは異なり、出自だけで完全に身分が決定される訳ではない。

近代社会の制度である学校というフィルターを通して身分が振り分けられていきます。これが学歴ということになります。

 

正規雇用による格差拡大が問題視されているが

昨今は、格差拡大が問題視されるようになり、特に非正規雇用が格差拡大の元凶のように言われている。

しかし、経営が不安定な中小零細企業では、当たり前のように倒産するので、解雇も当たり前のように行われていた。

 

従って、正規非正規の問題は、労組のある大企業に限ったものであるということです。

 

労組のある大企業は、容易に労働者を解雇することができないため、人件費が固定化し、経営の弾力性を著しく欠くことになる。

 

グローバルな競争にさらされている大企業は、企業の生き残りのために。

そして労働組合は既存の組合員の雇用を維持するために。

双方の利益が一致して生まれたのが非正規雇用です。

 

大企業の労働組合が、正規非正規という新たな身分を作り出したのです。

 

重層的な身分制度

大企業や役所の周辺では、重層的に身分制度を観察することができます。

思いつくものを順番に挙げていきましょう。

①正規非正規

 労組に守られ終身雇用されている正規従業員と、終身雇用でない非正規従業員の違いは明らかです。

②性別

60歳時点で課長になっている大卒女性が2割未満なのに対し、高卒男性では7割以上が課長になっている、というデータがある。

以前から結婚出産のある女性は明らかに差別されていました。

呼称は「総合職」に対して、「一般職」とか「事務職」とか呼ばれていた。

何が「一般」なのかよくわかりませんが、要するに男性の補助業務ということでしょう。

 ③ホワイトカラーとブルーカラー

ブルーカラーは兵卒で、ホワイトカラーは将校ですね。

ブルーカラーは現場の責任者、要するに下士官ぐらいまでしか昇進しません。

④親会社子会社

資本を通じて子会社を支配し、重要な管理職には親会社から人員が派遣される。

給料や福利厚生など待遇の差は明らかです。

人件費圧縮のため、ルーチンワークを切り出して子会社化することも多い。

⑤キャリア非キャリア

役所などは採用の段階からキャリア組がはっきりと分かれています。

役所に関わる業務をするような企業も同様の昇進システムを持っていることが多いように思われます。

一見全員横並びの採用を建前とする銀行などでも、採用の際に内部ではキャリア組をはっきりと分けていたようです。

⑥学閥

学閥といった時には早慶か東大などを意味することが多い。

何のことはない、採用の段階から、有名大学出身者がキャリア組で、その他大勢がノンキャリアに決まっていたという事でしょう。

 

⑦新卒中途採用

 

とまあ、ぱっと思いつくだけでもキリがありません。

 日本人が組織を機能させようとすると、このような重層的な身分制で運営することになるらしい。

 

 上級国民とは

  

上級国民とは勤め人でいえばおおよそ年収2000万円以上が目安になります。

これは普通の労働者の4~5倍の収入で、時給に換算すれば年間200日労働1日10時間はたらくとして、時給がほぼ1万円になる。

勤め人としてここに至るためには、大企業または役所のキャリア組である必要があります。

このキャリア組に入るチケットとして、学歴が不可欠であることは言うまでもない。

 

ただ、この学歴はある程度は金で買うことができます。

最も露骨な例は、慶応幼稚舎でしょう。

ここに入ればよほどのことがない限り、慶応大学という学歴が手に入る。

6歳の段階で将来の能力を予測し選別することなど不可能なので、富裕層の家庭から入学させている。

 

また、学歴獲得のための受験システムへの対応という意味では、東京や大阪の環境が抜群に整っている。

ある程度の能力があることが前提だが、受験システムに乗せるためには東京に住んでいることが圧倒的に有利になります。

 

何のことはない、江戸に住んでいる武士たちが運営する社会とあまり変わっていないようです。

 

 参考文献

専業主婦は2億円損をする

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